レチノールとは、ビタミンAの一種でエイジングケアの代表成分といえる存在です。ただ、「レチノールといえばエイジングケア!」と答えられる人は多くはないと思います。実際のところ「レチノールってそもそも何?」「どうしてエイジングケアに効くの?」「使ってみたいけれど刺激が強いのでは?」「敏感肌でも使えるの?」など、ご質問をいただくことが多い美容成分の一つです。この記事では、注目度が高まるレチノールの種類や機能、そして注意すべき「レチノイド反応」について解説します。

1.レチノールとは、そもそも何?

レチノールの正体はビタミンA

エイジングケアとして注目されているレチノール、その正体はビタミンAです。正確には、ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸などの成分の総称。ただ、レチノールは人間の血液中にあるビタミンAの大半を占める成分であることから、レチノールといえばビタミンAのことを指す場合がほとんどです。

「ビタミンA」というと、緑黄色野菜などをイメージされる方も多いと思いますが、本来の効能は、以下の3つが挙げられます。

①視力の維持や視機能の改善
②免疫力の向上
③皮膚や粘膜の強化

 

スキンケアとの関係では、ビタミンAが持つ「皮膚や粘膜への効果」に着目し、レチノール成分の入った化粧品の開発が進んできました。

変化するレチノール

レチノールは、体内で皮下組織内に運ばれると、酵素の働きによってレチナールに変わり、最終的にレチノイン酸に変化します。

レチノールの変化※下記の表はあくまでも目安となる分類です。

名称 レチノール レチナール レチノイン酸(トレチノイン)
使用されることの多い用途 化粧品 医薬部外品 医薬品
効果(副作用) 弱い 強くはない 強い

レチノイン酸(医薬品では「トレチノイン」とも表記)になることで、肌の角質の代謝を促し、ターンオーバーが活性化されます。最終段階のレチノイン酸がターンオーバーを促す力は強力で、この働きによって肌のハリやうるおいを保っています。そのためレチノイン酸の成分を使用した医薬品「トレチノイン」は肌への効果も非常に高いですが、一方で、効果と比例して肌への刺激も強まり、赤みや痒みなどのリスクも高まります。そのため美容クリニックや皮膚科などで医師の処方のもとに、肌のシミやニキビ跡を改善する医薬品として使用されています。

レチノイン酸の前駆体であるレチノールやレチナールも、同様の効果が期待される半面、副作用のリスクも十分に考えられます。種類や配合濃度によって、医薬品として扱われるケースから、医薬部外品、化粧品成分として扱われる場合まであるのです。

2.レチノールは、エイジングケアの代名詞

女性なら誰しも年齢を重ねるにつれ気になる、シミ、しわ、たるみ、くすみ。そんな年齢サインにピンポイントで働きかけてくれるのが、まさにレチノールなのです。では、具体的にレチノールが持つエイジングケアに有効な作用について詳しく紹介していきましょう。エイジングケアに最適なレチノールの働きは、次の3つが挙げられます。

エイジングケアに最適なレチノールの働き

①コラーゲン、ヒアルロン酸などの美容成分の生成(しわ、たるみの改善)
若いときの肌に弾力があるのは、肌自体がハリを保つ美容成分を生成する力を持っているから。年齢を重ねることにより、この力が衰えていきます。これが肌にしわやたるみができる原因の一つとなります。レチノールは、コラーゲンやヒアルロン酸などの美容成分の自発生産を促進する線維芽細胞を活性化します。この働きによりハリとツヤが生まれ、肌のしわやたるみが改善されるのです。

②角質の代謝とターンオーバーの促進(くすみ、シミ、しわの改善)
通常、健康的な肌では28日周期で行われる肌のターンオーバー。古い角質から新しい角質へと生まれ変わっていくこの機能が、加齢などで乱れることがあります。すると、古い角質が留まった状態になり、くすみやシミなどのエイジングサインとして現れます。レチノールは、角質の代謝を促すことで、ターンオーバーを活性化し、くすみやシミ、しわの目立たない肌へと導きます。

③水分保持力を高める(しわ、たるみの改善)
肌のターンオーバーが正常になることで、もう一つ期待されるのが、うるおい成分の生成です。レチノールには肌の保水力を高める効果があるため、新しい角質に生まれ変わったときに生成されるうるおい成分を、肌の内側に保持して、みずみずしくハリのある肌へと改善してくれるのです。

レチノールは美肌の応援団

年齢を重ねるたびに肌の悩みが増えるのは、体の機能も細胞レベルで衰えていくとともに、紫外線や酸化などのさまざまな原因が重なるから。生まれて間もない赤ちゃんの肌こそ理想的な肌といえるでしょう。赤ちゃんの肌は水分量が多く、新陳代謝も活発なため、正常なターンオーバーとともに肌が絶えず生まれ変わっている状態なのですから、外側から何かを足してあげる必要などありません。

一方で、加齢とともに疲れてしまった「肌を整える機能」には、少しだけ応援団を送ってあげる必要があります。その強力なサポーターとなるのが「レチノール」というわけです。正常なターンオーバーや美容成分の生成など、若々しい肌をつくる重要な機能を促進してくれる成分がレチノールなのですから、機能が衰えてきたのなら正しく足してあげる必要があります。

しかし、加齢によって自然に衰えてきた体や肌の機能に逆らい、本来は低下していた機能を外から成分を足すことで補うのですから、実年齢の体や肌が「反発」するのも自然なこと。つまり、劇的な効果を期待すれば、それだけ肌への負担も高まります。レチノールを正しく使うためにも、機能をしっかり理解する必要があるのです。

3.化粧品に配合されるレチノールの種類と特徴

前述したように、レチノールとレチナールは主に化粧品として使われる成分です。浸透度や安定性、濃度、特徴はそれぞれ異なりますが、化粧品として使われる成分はほとんどがレチノールです。また、レチノールが化粧品に使われる場合は、本来の性質を維持したまま「誘導体」に化学反応させることで安定化させることが多いです。

一口にレチノールといっても、化粧品に配合されるレチノールにはいくつかの種類があります。それぞれ特性が異なりますので、ここでは使用されることの多い4種類のレチノールをご紹介しましょう。

①パルミチン酸レチノール

レチノールは性質上、熱や光に弱い非常に不安定なビタミンだと言われています。化粧品にレチノールの成分を壊すことなく配合するために、パルチミン酸を結合させ、安定化させ浸透力を高めた成分がパルミチン酸レチノールです。

②酢酸レチノール

劣化しやすいレチノールの安定性を維持するために、酢酸を結合した成分です。パルミチン酸レチノールと比較すると、その安定性は若干下回りますが、肌への浸透性がよく、効果も高いといわれています。

③ピュアレチノール

レチノールの効果に近いとされ、高い浸透力と即効性が特徴です。効果が高い反面、使用には注意も必要です。化粧品を選ぶ場合は、肌への刺激を抑える成分などが併せて配合されているかどうか確認しましょう。

④レチノイン酸トコフェリル

レチノイン酸にビタミンE誘導体(トコフェリル)を融合させることで、安定性を高めています。レチノイン酸と名前がついていますが、ビタミンE誘導体と結び付けることで医薬品ではなくレチノールの一種として扱われます。レチノイン酸の効果を維持しながら刺激を低減させることが可能となり、エイジング化粧品として配合されることが多い話題の成分です。

レチノールの効能はエイジングケアから一般的な美容効果まで実に幅広く、種類も豊富。しかし、効果が高いために使用に向かない肌質もあります 。レチノールの種類や特性、肌質を十分に理解した上で使用を検討することが大切といえるでしょう。

4.気をつけたいのは副作用「レチノイド反応」

レチノールが変化したトレチノイン(レチノイン酸)は、ターンオーバーを活性化する力が絶大です。皮膚表面の古い角質を徐々に剥がしていき、新しい角質に変化させます。皮膚科や美容クリニックでトレチノインを使用して行われるしわやニキビ跡の治療は、この「皮が剥がれる」状態を繰り返すことによって、新しい角質への生まれ変わりを促します。そのため、下記のような症状を伴うことがあります。

・ピリピリとした刺激を感じる
・乾燥する
・赤みや痒みを感じる

これらは「レチノイド反応」と呼ばれています。トレチノインの効果が強いために、敏感肌ではない人にも起こる可能性があります。化粧品のレチノールは効果が緩やかになる分、医薬品のトレチノインと比較するとレチノイド反応が低減することがあります。

もし、レチノイド反応が見られたとしても、自分自身で大きな問題を感じない場合は1~2週間ほど経過観察してもいいでしょう。2週間程度でレチノイド反応が和やらいだ場合は、使い続けても問題ないケースが多いといわれています。ただし、肌質や感じ方にも個人差がありますので、様子を見ながらご自分に合った使用量、頻度を見つけるようにしましょう。

5.副作用に注意したレチノール化粧品の使い方

それでは、レチノール化粧品をどのように使うのがより効果的で安全度が高いのでしょうか?
使用方法のポイントは以下の5つです。

①レチノール化粧品を初めて使用する際は、必ず腕の内側でパッチテストを行う

最初はピリっとした軽い刺激を感じることもあるかもしれませんが、使用するにつれ気にならなくなる場合もありますので、自分の肌と相談しながら継続するか判断していくことがポイントです。

②使い始めは2~3日に一度、少量ずつ使う

ターンオーバーの機能が低下している肌に、いきなり多量のレチノールを与えてしまうとリスクがあります。肌が急激なターンオーバーに耐えられず、炎症を起こしてしまう場合があります。特に使い始めは、少量ずつゆっくりと慣らしていきましょう。

③日焼け止めを併用する

レチノールは、紫外線によって壊れやすく非常に不安定です。また、壊れたレチノールは肌に刺激をもたらす可能性があるので、紫外線を防ぐ日焼け止めの使用がおすすめです。また、ピーリング効果によって生まれ変わった新しい角質自体もデリケートなので、紫外線の影響を受けやすいです。そのため、レチノール化粧品を使用する場合は、夏場など紫外線が強い状況下での使用は避けるか、夜だけ使うなどの配慮が必要です。

④とりあえず一ヶ月使ってみる

通常、肌のターンオーバーは28日が周期と言われています。レチノイド反応が見られない場合、もしくはレチノイド反応の症状が落ち着いてきた場合は、効果を確認するために1ヵ月は使用を続けることが望ましいでしょう。

⑤自分の肌と相談する

一番重要なことですが、どんな場合であっても自分の肌をきちんと見てあげることが必要です。肌の状態が安定しない季節の変わり目、生理前、睡眠不足が続く日などは、肌質が変化し、敏感になっていることもあります。もし、レチノイド反応が出た場合には、使用量や頻度を減らす、または使用を控えるなど臨機応変に対応しましょう。

6.レチノール化粧品の正しい選び方

エイジングケア商品としても注目されるレチノールの化粧品は、選びきれないほど数多く存在します。「使ってみたいけれど、どれを選んでいいのか分からないという方は、次に挙げる選び方のコツや注意点を参考にしてみてください。

①クリームか美容液を選ぶ

レチノールは油溶性ですので、レチノール配合の化粧品はクリームか美容液を選ぶのがポイントです。

②初めて購入する場合は、高濃度配合のものを避ける

レチノール化粧品は、濃度が効果に大きく影響します。配合濃度が高いものほど刺激が強く、肌への負担も高まります。化粧品の場合、レチノールの配合濃度が0.01%~0.1%と決められていますので、まずは濃度の低い化粧品から試してみるといいでしょう。

③レチノール以外の化粧品成分も確認する

エイジングケア化粧品としてレチノールを選ぶ場合は、それ以外の配合成分にも着目しましょう。肌質によってはレチノール自体が乾燥を招くこともあります。また、セラミドやスクワラン、シアバターなどの成分が配合されているものは保湿を促すため、さらなるエイジングケア効果が期待できるでしょう。

④レチノイン酸トコフェリルを選ぶ

レチノールの種類の一つであるレチノイン酸に、ビタミンE誘導体であるトコフェリルを融合した「レチノイン酸トコフェリル」。レチノイン酸の刺激を抑えつつ、高い効果は維持するという、理想的な美容成分です。この成分を配合している化粧品を選ぶことも選択肢の一つです。

7.レチノールを知ること、次は試すこと

エイジングケア化粧品として注目されているレチノールについて、あなたの参考になる情報を得ることができましたか? スキンケアの効果を高めるには「きちんと知ること」が第一歩。正しく知り、正しいものを、正しく使う。化粧品との向き合い方を変えるだけで、何をやっても効果がないと諦めていた方も、あなたの理想とする肌に出会えるかもしれません。

年齢を重ねる度に、自分の肌を鏡で見ることが億劫になっているなどというご相談の声もよくお聞きします。世の中にある化粧品の中には、そんな女性の悩みを真摯に受け止め、研究・開発している商品がたくさんあります。せっかく効果が期待できる化粧品があるのに、「知らない」ことで使えない・使わないのはあまりにもったいないと思いませんか?新しい可能性のある成分を使用した製品があるのなら、メリットと注意点、使い方を理解した上で、選択肢の一つにしてみるのも得策です。レチノールを知った今、次は、あなたが試す番です。

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