ここカリフォルニアは、5月というのにすでに初夏のような天候。タンクトップやブラトップにレギンスでハイキングやジョギングをする女性たちをよく見かけるようになりました。さまざまな体型の女性が自信を持って好きなファッションを楽しんでいるLA(ロサンゼルス)は、私にとって居心地のいい場所。でも、そのようなカリフォルニアでも体型にコンプレックスを感じている人は少なくありません。アメリカでは1990年代以降ずっと、ランジェリー会社の大手「ヴィクトリアズ・シークレット」の広告に出ている「ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェル」と呼ばれる非現実的な体型のスーパーモデルが憧れの対象とされてきました。その影響力は絶大で、スーパーモデルたちが「美しさの基準」になっていたように思います。でもそのような傾向がここ数年変化しています。アメリカのランジェリー業界から起こったムーブメントとその先陣を切るブランド、また今さら聞けないブラジャー購入時の心得をお知らせしましょう。

憧れの体型「ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェル」

ky Cinema / Shutterstock.com

20年前にLAに移住した私は、当時の友人たちと同様、ランジェリーメーカーの「ヴィクトリアズ・シークレット」の大ファンでした。カタログが毎月郵送され、心待ちにしていたものです。しかし、カタログのエンジェルたちの姿に惚れぼれしながらも、徹底的に自分とは違う見た目に違和感がありました。また、モデルは白色人種が中心で、アジア系の人種がいないことにも不自然さを感じていました。全米のアジア人の人口比率は1割を超えているのに、消費者としての存在が無視されているような寂しさも感じていたのです。もし、私がさらに多感な10代の時に、これらのカタログを毎月眺め続けていたら、アジア人はアメリカでモデルにはなれないのだと勘違いしたでしょうし、モデルといえば美しい人なのだから、モデルになれないアジア人の私は美しくないとまで思い込んでしまったかもしれません。

ファッショントレンドは新たな方向へ

2017年に米国のミレニアム世代の女性が選んだ一番好きなブランドは上記のヴィクトリアズ・シークレットでした。現在もランジェリー市場で第1位をキープしてはいるのですが、実はその割合は、だんだん縮小しています。スーパーモデルを象徴にしたブランドは、2019年のファション界のトレンドとは逆の方向に進んでいるためです。今、モデル体型に憧れを抱かせるブランドではなく、ありのままのリアルな体型でファッションを楽しむことをサポートする新ランジェリーブランドが人気になっています。「リアルな体型のモデル」が登場し、一般消費者が自分と重ね合わせて共感できるようなブランドこそが、アメリカのファッション界では新しいスタンダードになってきているのです。

その先陣を切ったのは、アメリカン・イーグルの姉妹ブランド「エアリー(aerie)」。ランジェリーだけでなく水着やラウンジウェアも扱うエアリーは、2014年「#AerieReal(エアリーリアル)」というキャンペーンをスタートしました。人種も体型もさまざまなモデルを起用し、その上で一切修正していない写真を広告やSNSに出しています。その姿勢に多くの共感を得てエアリーは急成長し、現在はヴィクトリアズ・シークレットの最大のライバル会社となりました。

トレンド・セッター、リアーナのランジェリーブランドが邁進!

エアリー以上に有色人種とリアルな体型のモデルたちを取り入れたのが、2018年に誕生したリアーナのランジェリーブランド「サヴェッジ×(バイ)フェンティ」です。シンガー兼ハリウッド女優のリアーナは、デビュー当時からトレンド・セッターであり、ゴージャスなセクシーさとカジュアルさを掛け合わせた独自のファッションスタイルで知られています。彼女は前年の2017年に化粧品ブランドのフェンティ・ビューティ(フェンティはリアーナの姓)を立ち上げていて、「過去最高の数のファンデーションの色揃え」で話題になりました。プーマとコラボレーションしたスニーカーやウエアも大人気。そして遂にランジェリー専門のブランドを立ち上げたのです。

サイズの取り揃えを市場最高に豊富(XS~3L)にした同ブランドは、さまざまなサイズのモデルを初ファッションショーのランウェイで起用。妊娠したモデルもランウェイに立ち、かつてない多様性とリアルさを打ち出して話題になりました。広告塔のリアーナはカーヴィーなボディで、その自信溢れるゴージャスな姿に憧れるファンも多いのですが、同じような体型のモデルを特に多く選んでいるということもなく、アメリカだとなかなか見つからないXSサイズまでカバーしているところも魅力です。インスタグラムでも、どの人種のモデルが多いということもなく、黒人も白人もラテン系もアジア人も満遍なくカバーしています。人種のるつぼであるLAで生活している私からすると、サヴェッジ×フェンティのモデルの人種のバランスは、LAの人種比率のバランスをリアルに反映しているように思えます。

比べる必要のない私だけの美しさ

こうした新ブランドがリードし始めたアメリカのランジェリー業界は、モデルと自分の体型を比べて自信をなくしていた世界中の女性たちに、比べる必要のない自分だけの美しさを問い続けていくことになるでしょう。20年前に、私がこれらのブランドと出会っていたら、アジア人である自分の持つ独自の美しさに気づき、もっと自信が持てていたかもしれません。少なくとも、このような姿勢のブランドを応援したいとは思ったことでしょう。インスタグラムを始めとするSNSでも好きなブランドの写真を好きなだけ見られる今、企業広告の影響もさらに受けやすくなっているように思えます。このような時代だからこそ、ありのままの美しさを肯定するというポジティブなメッセージを発するブランドがさらに増えて欲しいですし、日本にもすでにこの波が訪れているように見受けられるのです。

胸を張って、私らしくキレイであるためのブラジャー選び

ランジェリー業界のトレンドを知ったところで、新しいブラジャーを購入したくなった方もいるのでは?下着売り場に出向いてサイズを測ってもらうのがベストですが、なかなかその時間が取れないという方でも大丈夫!米国で人気のウェルネスサイト『 Self.com』に掲載されていた「ブラジャーを選ぶ時のティップ」をご紹介しましょう。

重要なのはバンド

「ブラのカップは胸をしかるべき場所に収めるためにありますが、胸を支えているのは90%アンダーバストのバンドです。ストラップは一見胸を持ち上げているように見えますが、カップと体の線を揃えて、胸の形を整えるためにあります。ですから、カップとバンドが両方ともきちんと合っていれば、ストラップなしでも歩けるのです」と語るのは、ブラジャー専門家のキミー・コールドウェルさん。

アンダーバストの締め付けが緩い方が楽と考える女性は多いですが、それはブラを選ぶ際には当てはまらないとのこと。バンド部分がブラジャーにとっては最も重要であることを考慮すれば納得できます。緩いバンドは上に上がってしまって支えにならず、長期的には不快な思いをすることになります。このため、コールドウェルさんはブラのホックは一番緩いところから始めて、使用に伴いゴムが段々と伸びてきたら、2番目、3番目とずらすようにアドバイスしています。

セカンドサイズを知ろう

「ジーンズのように、ブランドによってサイズの差異が出やすいランジェリーは、自分の通常のサイズと、その上下のサイズを試着するようにしましょう。32C※だったら30D、あるいは、34Bというように」

特にアンダーバストとトップバストの差が大きかったり、アンダーバストは大きいけれどカップは小さかったり、サイズ展開が少ない体型の人は、セカンドサイズも知っておくと便利です。カップサイズを一つ上げてアンダーサイズを下げるか、逆にカップサイズを下げてアンダーサイズを上げるという方法です。日本のサイズだと、C70の人はB75かD65がセカンドサイズになります。

【アメリカのブラジャーサイズと日本のブラジャーのサイズ】

「32C※」と聞いても、アメリカのブラジャーのサイズなのでよく分かりませんよね?アメリカ旅行やアメリカのサイトでブラを買おうとすると途端に困ってしまうのがこのサイズです。ここで、アメリカサイズのおさらいをしておきましょう。
●30は30インチで約75センチ、32が約80センチ(1インチは2.54センチ)
カップの測り方は、アンダーバスト32インチでトップバストが35インチだった場合は、トップからアンダーを引きます。つまり、35-32=3。「3」は、ABC、アルファベットの3番目の文字を指しています。3番目は「C」なので、この場合Cカップになります。トップバストが34インチの場合はBカップというわけです。

 

左右の胸の大きさが違う場合は?

「右と左の胸の大きさが違うのは、まったくノーマル」なことだそう。ランジェリー専門家のコーラ・ハリントンさんによると「大きさが違う場合は、大きい方に合わせましょう。小さい方も大きく見えますし、パッドを入れて大きさを合わせることもできます」。

ストラップが肩に食い込んでいる場合は?

ストラップが肩に食い込んでいる時の理由は2つ考えられます。まず1つ目は、カップのサイズが小さ過ぎること。この場合、カップのフチから胸がはみ出してしまい、その重さを支えるためにストラップに負担がかかります。カップのサイズを再度確認してみましょう。2つ目は、アンダーバストのサイズが大き過ぎるか、緩んでしまっていること。アンダーバストのサイズが緩いと、バンドが胸を支えずに、ストラップが胸を支えることになり、ストラップが肩に食い込みます。ブラジャーをつけて、背中を鏡で確認してみてください。ストラップが背後のバンドを持ち上げているようなら、それはサイズが大き過ぎるか、伸びて緩くなってしまっているかのどちらかです。

ありのままの美しさを

「ありのままの美しさ」は、たった一枚のブラジャーで変わります。体型にぴったりと合うブラジャーを着けた時、体全体のシルエットがまったく異なって見えたという経験はありませんか?「太り過ぎてる」「痩せ過ぎている」「胸が垂れている」「胸の形が気に入らない」と思っている人でも、きちんとしたブラジャーをつけるだけで、体型が何倍も美しく見えるものなのです。そのような経験をしたことがない方は、しっかりとサイズの合うブラジャーを購入して、ぜひ、鏡の前に立ってみてください。そこには、体に合ったブラジャーとともに小さな自信を身につけた、ヴィクトリアズ・シークレット・エンジェルと比較する必要のない「ありのままの美しさ」を備えた女性がいるはずです。

参考文献

https://www.self.com/story/tips-for-finding-the-right-bra-size-and-fit

この記事を書いたライター

Beauty Lifestyle Writer

洋楽専門誌編集部に勤務したあと、1999年、カリフォルニア州ロサンゼルスに移住。フリーの音楽ライターとしてライナーノーツ執筆・取材・ライブレポートなどを数多くこなす。ファーマーズマーケットで仕入れる地元の食材を使ったナチュラルな生活と音楽ライブがエネルギーの源。

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