ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

LA(ロサンゼルス)の街を歩けば、スターバックスのように溢れるヨガスタジオ。今年話題のマインドフルネスの影響も手伝って、メディテーション(瞑想)の人気も右肩上がりです。しかし最近、ヨガや瞑想に加えてLA女子の注目の的になっているヘルシーカルチャーがあるのです。それが「ブレスワーク」といわれる呼吸法を習うクラス。モデルのジゼル・ブンチェンや大物司会者のオプラ・ウィンフリーも太鼓判を押しているブレスワークが瞑想と同様に「LAのヘルスコンシャスな活動のルーティンに加わる」と認知度を高めています。ブレスワークとは一体どのようなものかを説明する『理論編』と、この夏一番アツイと噂のLAのブレスワーククラスを体験レポートする『実践編』の2回にわたりご紹介します。理論編・実践編併せてお読みください。

ブレスワークとは何か、呼吸とは何か。

ヘルシーなライフスタイルを実践する女性にとって、今や欠かせない要素の一つになりつつあるヨガやメディテーション。フィジカルな動きの入るヨガに対して、より精神面の鍛練に重きを置くメディテーションですが、その両方に共通しているのが呼吸の重要性です。正しく呼吸することにより、全身にエネルギーが巡り、心と体のバランスを整える準備をしてくれるといわれています。そのため、ヨガの呼吸法だけでもさまざまな種類が存在し、むしろ、きちんとした呼吸法を実践できなければ、ヨガやメディテーションが持つパワーを最大限に享受することはできないとも考えられているのです。さらにいえば、呼吸だけを意識的にコントールするだけでも、心と体に大きなメリットをもたらすことができるとされ、その呼吸法に特化した実践が注目されているのです。近年になって生み出されたさまざまな呼吸法の総称、またはその実践が「ブレスワーク」と呼ばれています。

そもそも私たちは呼吸することで生きていて、その回数は一日に2万回以上。まさしく生命活動の根底にある呼吸ですが、ただ機械のように酸素を吸い、二酸化炭素を吐いているわけではありません。呼吸は、私たちが持つ感情と深く大きく関係しています。怒ったときは息が荒くなり、憂鬱なときは深いため息が出る。驚いたときにはハッと息を飲み、落ち着くためにゆっくり深呼吸をする……。人間が当たり前のように行っている呼吸活動が、私たちの精神状態と密接に関係してくる理由は、実は自律神経にあります。

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

自律神経には交感神経と副交感神経があり、それら2つが一日を通して交互にバランスよく優位に立つことにより心身を健康に保っています。一般的に、脳が活発に活動しているとき、緊張しているとき、ストレスを感じているときは、交感神経が優位に、眠っているときやリラックスしているときには、副交感神経が優位に立っています。私たちが普段活動しているときは胸式呼吸をしていますが、無意識に浅く短い呼吸法になる傾向があるそうです。ここに緊張・ストレス状態が加わると、胸式呼吸がいつも以上に短く浅くなり、この胸式呼吸が交感神経を刺激してしまうのです。もちろん、脳を活性化させたり、運動したりする際には、胸式呼吸により交感神経を優位に立たせることが必要な場合もあります。しかし起きているほとんどの時間に交感神経が優位な状態が継続していると、それによりさらに疲労やストレスを感じやすくなり、心身ともに不調を来たしてしまうのです。

反対に、寝ているときに行っている腹式呼吸は、肺の下にある横隔膜の上下運動を誘引します。実はこの横隔膜の周辺には、自律神経が密集しており、ゆっくりと深い腹式呼吸を意識的に取り入れることで、副交感神経を優位に立たせることが可能になるそうです。交感神経を刺激する短く浅い胸式呼吸だけではなく、内臓を刺激する腹式呼吸を起きている状態で意識的に取り入れることで、心身のバランスを保つことができるのです。ここに、呼吸と感情・精神面の深いつながりがあるわけですね。

◆簡単まとめ◆
交感神経が優位になる場合
・脳が活発に動いているとき、運動しているとき、ストレスを感じているとき……など。
※短く浅い胸式呼吸が交感神経を刺激することが多い
副交感神経が優位になる場合
・深く眠っているとき、お風呂に入っているとき、リラックスしているとき……など。
※自律神経が集まる横隔膜周辺を動かす腹式呼吸により刺激される

どちらか一方ではなく、両方がバランス良く交互に優位に立っている状態により、心身の健康を導いている。
→その2つのバランスの乱れを、呼吸法(ブレスワーク)によって正常化することができる!

 

ブレスワークとメディテーションの違いは?

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

ヨガのようにフィジカルな動きを含まず精神や感情のバランスを整えるという点では、メディテーションという方法もありますが、ブレスワークとの違いはどこにあるのでしょうか?メディテーションには、思考と感情を意図的に静めることで心身をリラックスさせ、マインドをクリアにし、自律神経のバランスを取っていく方法があります。もちろん呼吸も意識してゆっくりと整えていきますが、そちらはメインではなく、特別な呼吸法でなくとも実践できます。あくまでもマインドの在り方を普段のそれから自分自身の意思で変えることで、リラックス状態や集中力を促す方法です。

一方でブレスワークは、意識的な呼吸のテクニックを使うことで、普段使っていない筋肉や自律神経に直接働きかけ、心身を健全な状態に戻す方法だといえます。つまり自分で意識してマインドにアプローチするのではなく、いつもと違う呼吸法を通して体が勝手にマインドへアプローチするというわけです。LAの有名なトレーナーが、「ブレスワークはフィジカルとメンタルのかけ橋」という表現を使っていましたが、心身の健康を細胞・神経レベルで取り戻していく実践方法だといえるでしょう。

多岐に渡るブレスワークの種類

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

LAやNY(ニューヨーク)などヘルスコンシャスの高いエリアで急増しているブレスワークのクラスですが、さまざまな種類が存在します。ただ前述したような核の部分はほとんどが一緒で、骨組みだけが違うものが多いようです。まず大きなカテゴリーとして、ヨガなどフィジカルなエクササイズを伴う際の呼吸法と、メディテーションやセラピーなどマインドのエクササイズに重きを置いた呼吸法の2つに分けられます。

1.ヨガなどフィジカルなエクササイズを伴う際の呼吸法

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

ヨガなどの呼吸法の場合は、ヨガをするために心身を整え、最大限の効果を得るためのブレスワークであり、フィジカル面での効果も直接的に感じることができるようです。腹式呼吸、胸式呼吸などのシンプルな呼吸法の他に、以下のヨガの呼吸法があります。

Ujjayi Breathing(ウジャイ呼吸)

アメリカのヨガやピラティスなどで使われることの多い呼吸法で、種類を選ばず応用することができます。鼻から息を吸い、吐くときもお腹は凹ませたままの状態をキープするため、種類としは胸式呼吸に分類されます。喉の奥に圧をかけながら空気を吸うため、「シュー」、「スー」という摩擦音が出るのが大きな特徴です。そのサウンドによって「海の波が全身に流れているような感覚」と表現されることもあり、心身ともにリラックスさせてくれ、自律神経のバランスを正常化してくれます。また胸を張って大きく吸い込むため、肩や肩甲骨の筋肉も使い、血行促進にも効果的です。

Kapalabhati Breathing(カパラバディ呼吸)

こちらはヨガ前のウォームアップやブレスワーク単独で行うことも多い呼吸法。腹部や横隔膜の筋肉を最大限に使い、息を素早く力強く鼻から吐くことがポイント。短時間で呼吸筋を総動員して実践する腹式呼吸のため、内臓脂肪の燃焼やデトックスにも効果があります。ブレスワークだけでもかなりの運動量になり、体が温かくなるような感覚もあるそうです。内臓付近の筋肉を激しく動かすことで自律神経も刺激し、リフレッシュ効果も期待できます。こちらのブレスワークの後には、鼻や頭もスッキリする人も多いようですね。

2.マインドのエクササイズに重きを置いた呼吸法

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

その他にも数多く存在し、ヨガの種類やポーズによって区別されています。しかし、最近のLAのブレスワーククラスの大きな特徴としていえるのが、メディテーションのようにマインド面の健全化により重きを置いた実践方法が非常に多いということ。つまり、「集中力を増したい人」「直観力を高めたい人」「ポジティブな考え方にシフトしたい人」などに加えて、「悩みや不安・ストレスを抱えている人」「先に進めないネガティブな思考を持ってしまう人」のメンタルの改善など、アメリカで人気のカジュアルセラピーのような要素を多く含んでいます。特に今年に入ってから、ヨガ以上にメディテーションやマインドフルネスなど、心の健康・メンタルの健全化を大切する傾向があり、そういった流れも背景にあるようです。

実際に現在のアメリカでは、以下2つをベースにしたクラスや実践方法が多いとされています。

Rebirthing Breathwork/リバーシング・ブレスワーク

最も名前の知れたブレスワークであり、アメリカで誕生しました。比較的穏やかな呼吸法であることから、初心者でもトライしやすい呼吸法の一つです。横になった状態で、最初は通常の呼吸をしながら、体をリラックスさせます。一旦落ち着いたら「サーキュラーブリージング(円環呼吸)」と呼ばれるテクニックをスタートさせます。吸う息と吐く息の切れ目で呼吸が途切れないように、口の前で呼吸が円を描くイメージで意識をゆっくり集中させていきます。このブレスワークは仰向けの状態で行い、心身ともにリラックスさせることが重要です。この呼吸法により体中に新しいエネルギーが循環し、溜まっていた堆積物や毒素を解放することができるといわれています。このように体内に溜まり、外に排出できないでいる負のエネルギーをブレスワークの言葉では「ブロック」と呼び、それはメンタル面での不安やトラウマなどの解放も可能にするそうです。またこのブロックはメンタルだけではなく、フィジカルの痛みのリリースにも通じるため、肩コリなど体の詰まりや痛みも解消するとされています。

Holotropic Breathwork/ホロトロピック・ブレスワーク

チェコスロバキア出身の精神科医とヨガ講師の夫婦によって開発されたブレスワークで、心身に深く働きかける呼吸法として知られています。このブレスワークでは、音楽をかけ、横になりながら、深く速い呼吸をすることで、より多くのエネルギーを体内に巡らせます。それにより、普段は意識できなかった思考や抑えてしまっていた感情と出会い、心身の生命力を活性化することで自然治癒力を引き出す、というもの。ただし呼吸速度が速いため初心者には少し難しく、実践には注意が必要とする声も多いのが実情です。

その他に多くの種類がありますが、上記2つは認知度も高く、ブレスワークのベースに利用されていることが多いようです。マインドエクササイズのブレスワークでは、メディテーションのようにスピリチュアルな分野も含まれてくるので、理論づけた説明がなされないことも多いですよね。しかしメンタルに影響を与えるという点で考えるならば、ここで得られる効果の多くは、呼吸の変化による自律神経の正常化が大きなカギとなっているようです。意識的に呼吸をコントロールすることにより、通常意思の力では直接働きかけることのできない細胞単位での健全化がメンタルに良い効果を与え、さらには血とエネルギーが全身を巡ることによるフィジカルの効果も期待できると解釈できるかもしれません。

実際にLAで行われているブレスワークの多くは、ヨガの呼吸法、マインドエクササイズの呼吸法、そしてメディテーションなど、さまざまな要素のハイブリッドでモダナイズしているクラスが多いようです。

心と体に与えるブレスワークの効果

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

ご紹介したようなヨガの呼吸法、マインドエクササイズの呼吸法ともに入口は違いますが、それぞれが心と体にもたらす効果には共通点が多いです。ブレスワークの種類で少しだけ触れている箇所もありますが、呼吸を意識することで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

①自律神経のバランス改善

前述にもありますが、ブレスワークで最も重要なポイントは自律神経のバランスが整えられることです。疲れやストレスで交感神経が優位に立っている状態が継続することで、ネガティブな思考になったり、不安が募ったり、慢性的なイライラがあったりと、精神的なバランスが崩れてしまいます。それを呼吸により、内臓の筋肉を動かすことで、自律神経に刺激を与え、バランスを整えてくれます。

②血行促進

自律神経にも関連してきますが、副交感神経が優位になると血管が緩み、血流が良くなるといわれています。難しいことを抜きにしてシンプルに考えても、ストレスや疲れで呼吸が浅く、全身が強張った状態が続くことは、心と体にとって望ましいことではありません。また普段は使わない内臓筋を使うことは、意外な運動量を要します。しかも、コアのエクササイズになりますので、運動したときのような血液の循環も促してくれます。「ブレスワークで肩コリが改善した!」という感想が聞かれるのはそのためです。またブレスワークでは、自然と胸部を開き、肩甲骨を閉じる姿勢になりますので、姿勢の改善から肩や首周りの血流が良くなり、頭痛などの持病にも効果があるとされています。

③腸内環境の改善

ヨガよりも簡単、瞑想よりも効果アリ?

腹部の筋肉を集中的に使うため、腸の蠕動運動が促進されます。便秘が解消されることによって、腸内環境が飛躍的に改善。それによりデトックスが効率良く行われ、美肌効果もアップされるそう。そして栄養の吸収率も上がるため、健康的な体づくりのベースが整うなど、腸内環境の改善には女性もうれしい健康面でのメリットが芋づる式につながっていくのが特徴です。

④免疫力のアップ

腸内環境が整うことで、もう一つ期待できるのが、免疫力の向上です。感染症などの病気を抑制してくれる体内の免疫細胞は、その6割が実は腸内に存在しています。腸内環境が悪化すると、免疫細胞の機能も低下し、風邪などの病原菌に対抗できなくなってしまいます。免疫力が高まるということは、体のバリア機能も向上しますので、気候や環境の変化にも十分に対抗できる強い体がつくられるということなのです。

精神面はもちろん、健康面でもさまざまな効果が期待できるブレスワーク、いよいよ次回の実践編では、実際にLAで話題のブレスワーククラスを体験したレポートをお届けします。

出典

http://voyagela.com/interview/meet-jon-paul-crimi-breathe-jon-paul-breathwithjp-com-santa-monica-hollywood-malibu-studio-city-live-online/
http://www.lamag.com/breathwork/
https://www.breathewithjp.com/breathwork/
https://www.breathewithjp.com/breathwork-how-to-breathe-better/
https://www.doyouyoga.com/the-7-best-yoga-breathing-exercises-both-on-and-off-your-mat/

この記事を書いたライター

東京でファッション誌の編集・ライターとして活動後、渡米。LAではセレクトショップのバイヤーに。妊娠、出産を機に退職した後はフリーランスのライターとして活動再開。Newスポットの探索、本屋巡り、図書館でお籠り、ハワイへの逃避行が大好き。娘の笑顔とアイスクリームさえあればとりあえず幸せな30代女子です。

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